自分を思いやっていいんですよ
「なぜもっとうまくできないんだ」
「やっぱり自分は不十分だ」
「いつも人と比べられている」
仕事で失敗をしたとき、人間関係で
心が苦しいとき、あなたはどんなふうに
自分と接していますか?
私たちの多くは、子どもの頃から
自分自身を評価し、批判し続ける
ような環境で生活しています。
たとえば、先行きが不透明な情勢が
続くなかで、不安に押しつぶされ
そうになるとき
自分を必要以上に追い詰めて
孤独感がさらに増していく。
仕事で思うような成果を上げられない
とき、他人と比較して自分の能力を疑う。
こんな自分ではダメだと、自信を
失っている自分を叱責する。
過去の自分に後悔の想いが募り、
自分を許すことができない。
このような苦しさを胸の奥にしまい
ながら、日常生活を送っている
のではないでしょうか。
多くの人が「どうして自分にやさしく
なれないのだろう」と思うかもしれません。
人にはやさしいけれど自分には厳しい
実は、世界共通のものとして、多くの
人が他の人により自分に厳しい態度を
とる傾向があると言われています。
このような自分への批判的なかかわり
方は、成長や健康を妨げる要因になって
いることが近年、明らかになってきています。
ですから、自分への批判的なかかわり方は
「本当は苦しみの状態から抜け出したい
サイン」ととらえてみてはどうでしょうか。
そして、それはあなたにとって、とても
大切なことではないでしょうか。
心やカラダが、ほっとやわらいだり
落ち着いたりするようなセルフケアがあります。
それは、自分に「触れる」ということ。
自分に触れるエクササイズ
一人になれる安全な場所を確保しましょう。
手で、カラダのいろいろな場所に
やさしく触れていきます。
ご自分のペースで、ゆっくりと間を
とりながら、じっくり進めてみます。
首や肩、腕などに手を乗せたり
なでたりするとき、その場所で
いったんとどまって
体温や皮膚の感覚、余韻などを
十分に味わってみてください。
まぶたをそっと閉じて試してみると
より感じやすくなるかもしれません。
心やカラダがほっとやわらいだり
落ち着いたりする感覚、あるいは、
心やカラダに必要な、内側からの
強さや前向きな気持ちが生まれてくる
ような支えになる感覚が起きてくるでしょう。
どんな触れ方で、どのような感覚が
生じるか試していきます。
ゆったりと呼吸を続けて、自分の両手を
つないてみます。
片方の手で、もう一方の手の甲を
そっと包んだり、手のひらをなでます。
片方の手を自分の頬に添えてみます。
しばらくしたら、両方の手で
自分の顔をそっと包みます。
手から伝わる温もり、柔らかさ、
感触をただ感じてみます。
両方の腕を交差させて自分で
自分をハグします。
長めに時間をとってしっかりと
十分に自分を抱きしめてみましょう。
手の指に力を込めてしっかり抱き
とめても、優しくなでる感じでもいいです。
どんな触れ方で、どのような
感覚が生じるでしょうか。
腕をゆっくりさすってあげてもいいでしょう。
しばらくしたら、腕を楽にほどいて
片方の手を胸元に置きます。
手から伝わる感触やぬくもり、自然な
重みをただゆったりと感じます。
そこから、両方の手を胸に置きます。
呼吸とともに胸の動きを感じるかもしれません。
好きなだけ時間をかけて、のんびりと、
その感覚にとどまることができます。
続いて、手のひらを胸の上と
お腹の上に置きます。
呼吸とともに訪れるカラダの膨らみや
へっこみ、穏やかなリズム、手のぬく
もりをただ受け取っています。
最後に、両方の手をお腹の上に置きましょう。
そのまま、ゆったりとした呼吸のリズム
とともにいましょう。
もし、カラダの痛みやこわばり、不快な
感覚を感じる場所があれば、そこに
自由に手を置いて呼吸を続けます。
その場所に、やさしさやいたわりの
気持ちを送り届けるイメージで手を置いてみましょう。
落ち着く場所や、しっくりくる場所を
自由に探してみましょう。
この「自分に触れるエクササイズ」は
10分ほど時間をとって行ってみてください。
一つひとつのタッチをじっくりと味わうように。
私は、この「自分に触れるエクササイズ」を
イライラしたときや、気持ちがダウンしたときに行います。
苦しみに寄り添いながら自分を抱きしめ
たり、自分の暖かい体温を感じるよう
にお腹や胸に手を乗せます。
朝、目が覚めたときや、寝る前の時間に
行っても心身の切り替えにとても良いですよ。
コツは、ゆったりと呼吸を続けながら
自分をいたわるようにカラダに手を置くこと。
そっと自分のカラダに触れることで
自分とのつながりを感じたり、愛おしさ
や感謝を感じることができます。
慣れてくると、落ち込んだときに手を
胸元に置いたり、自分の腕や手をやさしく
なでたりと、必要なときに自然に
行動するようになるでしょう。
どんなことがあっても、あなたは
いつでも自分で自分を癒したり
自分で自分を支えることができます。