子供時代の心の傷を癒すこと
小さい頃に体験した孤独感や恐怖感は
あとになって感情面での深刻な問題を
引き起こすことがあります。
こうした体験は、その人の世界に対する
見方に決定的な影響を与えます。
世界を意味あるものとして、また、
自分の力で管理できるものとして
考えられるかどうか
人を愛したり尊重したりすることが
できるかどうか、といった人生観の
形成に影響してくるのです。
しかし、子供時代の不幸な体験から
抜け出す道を見つけ、成長できる
人は、ほんのわずかしかいません。
ほとんどの人は、小さい時に
結びつきが不十分だった事の
後遺症から立ち直ることができずに
決して癒されることがない傷を
一生かかえて生きていくことに
なるのです。
そして、自分の傷に気づくこと
さえないのです。
気づいていようといまいと、子供
の頃に親とあまり親密な関係を
持てなかった人は、
大人になっても深い傷を残した
ままでいるおそれがあります。
このような精神的な傷は、疎外感
として現れ、心と体をバラバラ
にしてしまいます。
では、このような傷を癒すには
どうしたらいいのかを考えて
みましょう。
まず第一に、傷を負っているという
ことに気づくことです。
心と体の結びつきが壊れていると
体はその状態を知らせる何らかの
信号を送ってきますので
それに気づくことが大切です。
第二に、ここが大事なのですが
その気づきをやり過ごさず、体からの
信号を受け取れる体制を作ることです。
自分の体と自分に対する感情との
結びつきに意識を向けることです。
心が傷ついていると、自分自身に
愛情を向けることができないのです。
それだけでなく、愛情など、なんの
価値もないと感じているかもしれません。
また、そうしたいと思っていても
家族に自分の温かい感情を表現する
ことができないという人もいます。
これらのことは、自分が自分の体
から切り離されていて
一貫性や結びつきを感じられない
ために生じる問題なのです。
子どもの頃に、両親から、あるいは
学校などで「悪い子だ」などと
言われていた場合
この評価がいつのまにか子どもの心に
内在化していきます。
そして、その人の自己イメージや
世界に対する見方の一部になり
大人になったときには精神の
奥深いところにしみついて
しまっているのです。
だから、傷は、隠したり否定したり
するのではなく、癒さなければ
ならないものなのです。